2025年12月16日
2025年12月17日 17:50更新
新潟県立看護大学の神田清子長が、抗がん剤の副作用による症状を患者が自ら把握する「尺度」を開発し、このほど開かれたアジアがん看護学会で、看護学の発展に貢献した人に贈られる優秀賞を受賞しました。

「第7回アジアがん看護学会」の研究部門で優秀賞を受賞した、県立看護大学の神田清子学長です。この賞は、アジアでがんの看護学の発展に貢献した研究者に贈られるものです。

県立看護大学 神田清子 学長
「他者に認められたということは、間違いではなかったという確証が持てる」

神田学長は、抗がん剤の副作用による症状を患者が自ら把握する尺度を、日本で初めて開発しました。神田学長によりますと、抗がん剤の副作用による手足のしびれなどの末梢神経障害は、症状を抑える薬がないのが現状です。この影響で、指で紙をめくったり、ボタンをかけたり外したりすることがうまくできないなど、日常生活に支障をきたすことがあります。その上、心理的なショックや、病気に対して周りから理解してもらえないなど、さまざまな点から生活の質が低下することがわかっています。

神田学長は、患者と医療者が症状や心理状態を共有するため、しびれの程度や治療に対する気持ち、周りの人の病気への理解など、15項目にわたって数値で測定する尺度を作りました。患者がこれを活用した結果、医療者はしびれの程度や治療への気持ちを総合的に把握できるようになり、患者と医療者の隔たりが少なくなったということです。

神田学長
「患者のつらさを医療者と共有できること、ずれが生じないことがいい。同じような方向に患者と医療者が(治療の)対策を立てられる」

神田学長は、今後も患者に寄りそった研究を続ける考えです。
神田学長
「がん患者のあらゆる症状や生命予後に運動がいいという研究結果が出つつある。(運動の)頻度や継続性、やり方など、統一されていない。そういうことで効果があるか、今後研究をさらに深めたい」

神田学長が作った尺度は、全国の医療機関で実際に活用されています。
© Copyright (C) 2025 上越妙高タウン情報 All rights reserved.