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バレーボールVリーグ初代女王「信州アリーズ」 上越市出身 関沢小雪選手にインタビュー

上越市出身 関沢小雪選手
写真提供：ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ

上越市出身の関沢小雪さん（24）は、今年5月末まで長野県上田市のバレーボールチーム･ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ（信州アリーズ）に所属していた現役選手です（現在は他チームへの移籍交渉中）。信州アリーズは、去年新しくできたⅤリーグ（2部）で、今年4月までのおよそ半年間試合を重ね、4月5日に千葉県船橋市で行われた決勝戦ではブレス浜松に3対1で勝利し、初代女王に輝きました。

優勝に貢献した関沢選手に、地元（上越市）での幼少期から、終わったばかりの今シーズンまでのエピソードを伺いました。

小学校までピアノを習っていた関沢選手は、祖母と母の勧めで中学校からバレーボールを始めました。「中学から大学までバレーの強化指定の学校ではなかったので、時にはクラブチームや社会人チームの練習に参加したこともありました」と振り返ります。

県立高田北城高校時代は、地区大会ですぐに負けてしまうこともありましたが、スポーツだけではなく人間としての在り方までも指導した顧問やコーチに出会えたことにより、バレーを途中で投げ出さず続けられたといいます。

その後、栃木県の大学へ進学。コロナ禍で練習が行えなくなった時から、独自で練習メニューを考え、目標や反省を常にノートにメモするようになりました。ノートの表紙には、「2020年2月」とだけ書かれていました。

直筆ノートの1ページ

関沢選手
「この頃からⅤリーガーを目指していましたが、自分自身で道を切り拓かなければいけない状況でしたので、セルフコントロールする意味合いも込めてノートを作るようにしました」

大学卒業後は入団テストを経て長野県のチームに所属（信州アリーズ）。左利きを活かし、守備より攻撃に重きを置くオポジットとして活躍しました。監督やコーチからはチームが劣勢に立たされた時、途中交代で出場し、攻撃を通して試合の流れを変える役割を任されていました。

実際、コートに立つと味方からのボールを受け、力強いスパイクで攻撃し相手を翻弄するシーンを何度も見かけました。

関沢選手
「味方から受けたボールを、相手チームの隙を見つけ、空いたスペースに攻撃していますが、どこに狙いを定めるかを毎回一瞬で判断する事が楽しみの一つになっています」

Vリーグで優勝した瞬間については「試合が終わって優勝が決まった瞬間、コートの中にいる選手の元へ走っていった時から先は、よく覚えていないんです。私の場合、学生時代に優勝を経験した事がなかったので、余計実感が湧きませんでした」と話してくれました。

スポーツ選手でありながら、アーティストのように時に物憂げな表情となり、言葉を選びながら話す関沢選手。コート上でも放つ唯一無二の存在感は、恩師に恵まれながらも半分は独学でバレーボールを習得したからではないでしょうか。

練習や試合の合間には、流行に左右されずに独自の感覚でファッションや音楽、映画やドラマなどを楽しんでいるということです。音楽で思い出したのが、かつて多数の映画音楽を手掛けた伊福部昭と早坂文雄。2人とも半ば独学で音楽を修得して希代の名作曲家となりました。全ての目標は、自分の心がけ次第ではないか。彼女の後ろ姿からは、バレーに限らずスポーツに打ち込む全ての若者への指標が見え隠れしている気がしてなりません。

Ⅴリーガーとなって2年が経過。このほどチームの公式ホームページで退団が発表されましたが、これからも現役として選手を続けていきたいと考えているようです。関沢選手は保健体育の教員免許を取得していて、いつかは「自分の挫折や経験を次の世代に伝えていきたい」と……。

取材の最後、地元の事を聞くと自然と微笑みがこぼれました。大学進学が決まった高3の終わり、上越市内で短期バイトを行っていたバイト先は和菓子店「土肥菓子店」であった事や、澄んだ空気、直江津の海岸、高田城址の夜桜などについて話してくれました。

関沢選手
「放課後を過ぎても学校にいると、グラウンドから見える夕陽が沈んでいく景色は絶景でした。景色で思い出しましたが今年も優勝決定戦が終わった後、高田城址へ夜桜を観に行きました」

高田城址の今年の夜桜シーズンは終わりましたが、来年の春はどの様な想いで、高田城址の桜を眺めるのでしょうか。

※Vリーグ…昨シーズンからバレーボールの組織体制が変わり、数年以内に完全プロ化となるＳＶリーグ（１部）と、セミプロの選手が中心に活躍するＶリーグ（２部）のカテゴリーへと再編成