2025年7月31日
2025年7月31日 4:00更新
中学陸上の中長距離走で、上越地域の大会記録を次々と塗り替えている選手がいます。上越市立中郷中学校2年生の杉山愛理さんです。今年7月には全国大会への出場をかけたレースで、出場の基準になる記録を初めて上回りました。陸上を始めてからわずか1年、急成長する杉山さんの強さの秘密を取材しました。
上越地区大会の決勝や、各校のエースがそろう駅伝大会の1区でも、ほかを寄せ付けない圧倒的な走りを見せる杉山さん。陸上を始めた当時を知る指導者は「試しに走らせてみたら素質がすごかった。負けん気の強さは人一倍で、そこが彼女のアスリートとしての持ち味」と話しています。
陸上を始めたのは、中学校に入ってからです。みるみる頭角を現し、7月には全国大会への出場をかけた800メートルと1500メートルのレースでいずれも参加標準記録を突破し、自身初となる全国への切符をつかみました。
杉山愛理さん
「去年から全国大会出場を目標に頑張ってきたので、とにかくうれしかった」
2023年 上越市小学校親善陸上競技大会 小学6年生の杉山さん
JCVが初めて杉山さんを取材したのは、小学生が出場する陸上の地区大会でした。このとき杉山さんは中郷小学校の6年生で、陸上ではなくバレーボールをしていましたが、2位を大きく引き離す走りを見せていました。
杉山愛理さん
「陸上を始めたきっかけは、親善陸上大会や小学校の校内マラソンで1位をとれたこと。それで陸上部に入ってみようと思った。兄が中郷中学校時代に駅伝で全国大会に行っているのを見て、すごいなと思っていた」
中郷中学校陸上部の元顧問で、2年前に男子チームを上越地域から23年ぶりとなる全国大会出場に導いた、陸上指導者の関原駿さんは、杉山さんは身長149センチと周りの選手と比べて小柄ですが、大きく腕を振る力強い走りに衝撃を受けたといいます。
関原駿さん
「小学生で走りを初めて見たときから、動きはダイナミックで、がんがんと腕を振って押していけるのは才能だと感じた。あの身長でも大きく見えるストライド(歩幅)とパワフルな動きは、彼女の持ち味」
学校での練習は男子に混ざって行なっています。女子と比べて走る距離が長い、設定タイムが速いなど、ハードなメニューです。それでも杉山さんは、男子と同じようにメニューをこなします。
男子部員
「最初はすごい選手だと思っていたが、今は当たり前に一緒に練習している。自分からどんどん追い込んで、気持ちで負けないところが尊敬できる」
杉山愛理さん
「自分よりレベルの高い人と練習できるので、ついていくのがいい練習になっている」
着実に力をつけるなか、悔しい思いもしました。全国大会への出場を決めた800メートルのレースで1位をとれませんでした。
杉山愛理さん
「最後の最後に抜かれて2位だった。県大会は2冠をとりたい。優勝して今後の自信になれば」
2週間後、杉山さんは同じ規模の県大会に出場しました。この日、会場の柏崎市は32度を超える厳しい暑さでした。
リベンジに燃える800メートルの決勝。杉山さんは普段はスタートから前に出ますが、この日は後ろにつきます。周りのペースを確認しながら勝負どころを踏み、最後の1周に入ると一気に前へ出ました。
先頭に出ると後ろを突き放し、2位集団に2秒以上の差をつけて優勝しました。
ゴール後は笑顔があふれる
そして翌日の1500メートルでも、厳しい暑さのなか全国大会の参加標準を再び切る好記録で優勝し、念願の2冠を果たしました。
杉山愛理さん
「県大会は速さよりも『強さ』が必要だと思っていて、勝ちに行くレースをしようと決めていた。暑くて走り切るのも精一杯だったが、優勝できてとてもうれしい」
陸上の上位大会は1人1種目までの決まりがあるため、全国大会には1500メートルで挑むことを決めました。全国大会は8月17日から沖縄県で行われます。
杉山愛理さん
「1周目を速く入ってしまう癖があるので、2~3周目も落ちずに粘れるように、暑さにも耐える練習をしていきたい。目標は北信越優勝と、全国で決勝に残ること」
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